注文住宅の窓の大きさや配置と種類の決め方
日当たりと風通しが良く、外部からの視線に煩わされない居心地の良い空間、季節の変化に応じて快適な室温が調う環境には、窓の大きさ、配置、開き方の種類が大きく影響します。窓が少ないと暗く風通しの悪い家になり、窓の大きさによってはプライバシーが保てなくなります。
窓の位置は住宅完成後には変更できないので、失敗のない決め方が大切です。
新築住宅の窓の種類の選び方
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注文住宅のプランを進める際には、間取りや内装のデザインなどに気持ちが集中することが多いと思います。ただ、リビングや寝室などの居室にも、廊下や玄関などにも、窓の決め方は重要です。窓には陽射しを採りいれ、風を通して換気を良くする他に、庭や住宅周辺の景観を室内に採り込み彩りを添える働きもあります。
そして窓の大きさや数、配置、開き方によって、窓の働きの効果の高さが変わります。始めに開き方タイプによる窓の種類を見ていきましょう。
引き違い窓
2枚のガラスを横に引いて開閉する日本の住宅で最も多く使われている窓で、腰高窓と掃き出し窓があります。
腰高窓は腰の高さの窓で、様々なサイズがあります。居室の他に洗面所や浴室、玄関など、家の中の多くの場所に設けられます。
掃き出し窓は、出入りができる窓で、テラスや庭に面したリビングやバルコニーに面した寝室、子ども部屋などに設けられます。
片引き窓
横に引く窓で2枚のうち1枚がFIX窓になっていて、残りの1枚だけを動かして開閉する窓です。
同じ間口の引き違い窓と比較するとFIX窓の部分は、ガラス面がより幅が拡がるので、サッシに邪魔されず周辺の景観を楽しめます。
中央がFIX窓になっている両袖片引き窓
両側の窓を中央に引いて窓を開閉するので、1つの窓で2か所の開口部が生まれ、対面の窓がなくても風が通ります。
引き込み窓
両側のFIX窓と引き違い窓が組み合わされた窓です。引き違い窓はそれぞれ左右のFIX窓に重ねて引くので、開口部が2倍に拡がります。
片上げ下げ窓
洋風な外観に調和する下の窓を上げ下げして開閉する窓です。
縦すべり出し窓
ウィンドキャッチとも呼ばれる窓です。壁に沿って逃げて行ってしまう風を外にすべりだしたガラス面に当てて、室内に採り込む働きをする窓です。中央にFIX窓、両側にすべり出し窓が組み合わされたウィンドキャッチ連窓は、さらに風通しを良くします。
すべり出し窓
上部を軸にして室外側にすべりだして開く窓です。ガラスが庇の役割をするので小雨なら窓を開けておけます。
ガラスルーバー窓
ガラスがブラインド状になっている窓で、外部からの視線を気にせず換気ができます。
設置する位置による効果の違い
窓は位置によって採光量と採風量、そして視線の通り方が変わります。周辺の環境に合わせた窓と間取りの組み合わせが、日当たりと風通しとプライバシーを確保し、室内に美しい景観という彩りを与えてくれます。
トップライト(天窓)
屋根に設ける窓です。陽射しが採り入れ難い環境にある住宅であっても、十分な陽射しを採り入れることができます。密集した住宅地に建つ狭小住宅であっても吹き抜けやスキップフロアと組み合わせることによって、外部からの視線を気にすることなく家中に光を届けられます。
ハイサイドライト(高窓)
頭より高い位置にある横に長い窓です。一般的な腰高窓と比較すると、陽射しが入っている時間が長いので、明るさを採り込みやすいという特徴があります。また、対面の窓との高低差ができる為、風も通りやすくなります。そして、窓が隣家や通りに面していても、視線が入って来ないのでプライバシーを確保できます。
ローサイドライト(地窓)
日本の茶室に設けられることの多い、低い位置に設ける横に長い窓です。庭の景観を楽しみつつプライバシーが確保できます。掃き出し窓のある部屋に地窓を組み合わせて設けると、上部の壁を有効に使える良さもあります。
また、他の窓との高低差ができるので風の通り道が立体的になり、換気の良い部屋が生まれます。和室以外にも、玄関や廊下、坪庭に面したリビングなど、様々な場所に設けられます。
スリット窓
通りに面した壁などに使われることが多い、外部からの視線が入らない細長い窓がスリット窓です。縦長のタイプと横長のタイプがあり、住宅の外観にモダンな印象を演出します。
窓の配置・大きさ・数と室内環境の関係
窓は間取りとの兼ね合いを考えて決めることが大切です。
窓の配置と間取りや内装の素材の関係
トップライトやハイサイドライトと吹き抜けの組み合わせで、窓からの光を家中に届けることができます。窓からの陽射しは、日中は照明を点けなくても日常生活に必要な作業ができる明るさを提供してくれます。
同時に冬は暖かさも届けてくれます。この暖かさは、蓄熱性のある無垢材や塗り壁の内装の部屋では、日が落ちてからも温もりとなって維持されます。
また、窓からの風は低い所から高い所へと抜けていくので、夏は室内の熱が高い位置にある窓から排出されて行きます。吹き抜けを設けない場合であっても、対面にある窓に高低差があると、排熱効果も換気の良さも得られます。
窓の大きさと明るさやプライバシーの関係
近年は省エネの為、小さい窓だけの家、窓の少ない家も多くなってきました。高機能な換気システムがあれば、窓が小さくても、少なくても換気状態が悪くなることはないでしょう。また、窓があっても窓を開けない時間が長い季節もあります。ただ、窓には風意外に明るさと周囲の景観を採り込む働きもあります。
確かに密集した住宅地では大きな窓をつけた為に、周辺からの視線が入り込みプライバシーが確保できなくなることがあります。その結果、窓には常にシャッターを下ろしているというようなことになってしまうこともあります。そのようなことにならないよう、周辺環境に合わせて適切に窓を設けることが大切です。
窓の数と建築費の関係
窓の数は建築費に影響があります。また、上げ下げ窓や縦すべり出し窓は窓自体の価格が高額です。外観をおしゃれにするために、上げ下げ窓や縦すべり出し窓を多用すると建築費が嵩んでしまいます。
上げ下げ窓や縦すべり出し窓は、引き違い窓やFIX窓と上手に組み合わせて設けることが、建築費を抑えることに繋がります。
窓の機能と室温の関係
窓には断熱性と遮熱性を持たせることができます。住宅の壁や屋根、床、基礎が十分に断熱されていても、窓が断熱されていないと、住宅の持つ断熱性が十分に活かされません。その理由は、家中のどの部分よりも窓からの熱の出入りが多いからです。
断熱のポイント
省エネ住宅の基本は、住宅全体で外気に接している部分(床・外壁・天井又は屋根)を、断熱材で隙間なくすっぽりと包み込むことです。
隙間があると、熱が室内から室外へ逃げたり、その逆に、室外からの熱が室内に侵入したりすることになります。断熱性能の低い壁の室内側の表面には温度差が発生しやすく、結露の原因になる場合があります。
開口部の断熱
住宅の断熱で重要なのが、開口部の断熱性能を高めることです。なかでも窓は、熱の出入りが大きいので、断熱上の重要なポイントとなります。
冬の暖房時に、室内に逃げ出す熱の約6割が窓などの開口部からで、夏の冷房時に、室外から侵入する熱の約7割は窓などの開口部からです。
窓選びの際には、窓の性能についても考えることが大切です。窓の断熱性能はガラスの種類とサッシの素材によって変わってきます。複層ガラスよりもLow-E複層ガラス、Low-E複層ガラスよりもトリプルガラスというように、断熱性能が上がっていきます。またサッシにもアルミ樹脂複合サッシと、それよりも断熱性の高い樹脂サッシがあります。
茨城県は面積が広いので地域によって気候が異なります。また、住宅に必要な断熱性は、周辺の環境によっても変わってきます。地域の気候や周辺の環境に合わせて最適なガラスとサッシを組み合わせた窓を選ぶことで、より暖かい家を実現できます。
加えて、夏の室温上昇を抑えて冷房を効率よく働かせるためには、窓の遮熱性能も必要です。窓の向いている方角に合わせて、強い日射熱が入ってくる部屋の窓には、遮熱タイプのLow-E複層ガラスが、夏の室温上昇を抑えます。
窓は住宅の外観にも、室内環境にも省エネにも大きな影響を与えます。周辺の環境と間取りとの組み合わせの基に計画された窓は、必ず暮らしを快適にします。
一方、暮らし始めてから、窓の位置を変更するとなると、高額な費用がかかってしまいます。耐震性に影響する場合もあります。そのようなことにならないよう、新築時の窓計画は慎重に進めましょう。
エーベンハウスは日本の木、茨城で育った木で家づくりをする工務店です。無垢材には、快適で安全な家を支える建材としての特性を備えています。
木造住宅は寿命が短いと思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、それは家の建て方によって大きく変わります。エーベンハウスは子や孫の代まで安心して暮らせることをコンセプトに無垢材の家を建てています。
ぜひモデルハウスにおいでください。無垢の木でつくるの家の魅力を実感していただけます。