間取りのポイント 二階建て住宅では何が必要?
二階建て住宅には平屋より多くの床面積が得られ、3階建てほど階段の昇り降りの負担がないという良さがあります。そして二階建て住宅は、間取りによって得られる床面積と暮らしやすさが変わります。
30坪の二階建て住宅の間取りの可能性や、4LDKに必要な坪数、二階建てを暮らしやすくする生活動線と階段の関係などについて考えていきましょう。
戸建て住宅には平屋、二階建て、三階建てがありますが、その中で最も多い住宅は二階建て住宅です。間取りプランによっては同じ敷地内に平屋の2倍の床面積を持つ家にすることができ、三階建てほど昇り降りの負担が大きくはないからではない良さがあります。
そして二階建ては住宅の形状や間取りによって、得られる床面積や室内環境、生活動線が変わってきます。
二階建て住宅の形状による特徴の違い
二階建ての家には1階と2階の大きさが異なる形状の家と、1階と2階が同じサイズの形状の家があります。
総二階建て
最も多く床面積が得られる二階建ての家は、1階と2階が同じサイズの箱型の家です。同じ敷地面積に建てる二階建て住宅の中で、最も多くの床面積を得られます。敷地面積が狭くても理想的な居住面積を得る為に、都心部の住宅地には多く見られます。
理想的な居住面積として国土交通省では次のような水準を掲げています。
誘導居住面積水準は、世帯人数に応じて、豊かな住生活の実現の前提として多様なライフスタイルに対応するために必要と考えられる住宅の面積に関する水準であり、都市の郊外及び都市部以外の一般地域における戸建住宅居住を想定した一般型誘導居住面積水準と、都市の中心及びその周辺における共同住宅居住を想定した都市居住型誘導居住面積水準からなる。
(1)一般型誘導居住面積水準
1) 単身者55m2
2) 2人以上の世帯25m2×世帯人数+25m2
引用:参考資料 誘導居住面積水準(住生活基本計画(平成23年3月15日閣議決定)より抜粋)
箱型の家には、その他に、凹凸が少なくシンプルな構造であるため、間取りと設計の工夫で、建築費を抑えやすい、耐震性を高めやすく、熱の出入りする量を抑えやすいというという良さがあります。
総二階建ての家にはシンプルでモダンな良さがあり、周辺の景観にも調和しやすいのですが、周辺の家々と似たような雰囲気になってしまうことは多いです。その為、バルコニーや玄関ポーチの造り方、軒の深さ、屋根の形状、外壁の色などで自分の家らしさを出していくことになります。
2階が1階より小さい家
近年は狭小地であっても床面積が多く得られることや、建築費を抑えられることから、総二階建ての家が増えていますが、少し前までは2階が1階より小さい家が一般的でした。現代においても、2階が1階より小さい家には、日本の住宅らしい落ち着きを感じる雰囲気の良さがあります。
2階が1階より小さい家は、設計と間取りによっては平屋のように暮らせる家にすることもできます。ワンフロアで生活が完結する、家事動線がスムーズになる、庭と融合した暮らしができるなど、平屋には数々の魅力があります。その為、暮らしやすい平屋を建てたいと希望されるご家族は多いのですが、現実的には平屋をあきらめるケースも少なくありません。
その理由には、家族構成に対して十分な床面積が得られない、敷地周辺の環境によって、十分な日当たりと風通しを得られそうにないといったことが挙げられます。このような場合、2階が1階より小さな二階建て住宅にし、洗濯に関わる家事が1階だけで完結するような間取りを工夫することで、平屋のように暮らせる二階建て住宅が生まれます。
総二階建ての家ではモダンな外観が多いのですが、2階が1階より小さい家は、和風、洋風、モダンなど、あらゆるデザインに溶け込みます。加えて、2階に広いバルコニーを設けてアウトドアリビングを楽しめるという魅力もあります。
敷地周辺の環境によって、北側斜線制限や道路斜線制限など、隣家や道路への陽射しを遮らないよう制限が設けられていることがあります。そのような土地であっても、2階が1階より小さい家であれば、設計次第では制限を受けることなく建築することができます。
1階が2階より小さい家
あまり多くはありませんが、1階より2階の方が大きい二階建て住宅もあります。日当たりの良い部屋が増える、1階部分に駐車スペースを設けられる、個性的な外観になるなどの良さがありますが、耐震性は低下してしまいます。
間取り計画での1階と2階の使い分けが暮らしやすさに与える影響
間取り計画を進めていく基本は家族構成と家族の暮らし方に合わせるということですが、1階と2階の使い分けに対しては、周辺環境に配慮する必要があります。
日当たり、風通し、プライバシーの確保
周辺に住宅が建て込んでいる、隣家との距離が近いというような場合、日当たりと風通し、プライバシーの確保が難しくなることがあります。そのような場合には、2階リビングにするという選択肢があります。
1階では陽射しが取り込めなくても、2階には長時間陽射しが入ることや、通りからの視線が気にならなくなることが2階リビングの魅力です。さらに2階リビングにし、水回りもすべて2階に設ける間取りにすると、洗濯物に関わる家事負担が大きく軽減できます。
その他には吹き抜けを設けるという方法もあります。吹き抜けによって1階と2階の空間が繋がり、2階の窓からの光が下の階にも届き、日当たりの悪さを解決できます。加えて、1階の窓から2階の窓へと空気が通り抜けていくので、立体的な風の通り道が生まれます。その結果、空気が循環しやすい換気の良い環境が創られます。
また、敷地に余裕がある場合には、1階部分を広くとり、リビングも含めて水回りはすべて1階にする、子ども部屋と寝室だけを2階にするという間取りにして平屋のように暮らすという考え方もあります。
この場合には、1階にランドリールームを設ける、洗濯物を干せるスペースを裏庭やテラスに設ける、ファミリークローゼットを1階に設け、入浴前に2階に着替えを取りに行ったり、洗濯物をしまいに行ったりする必要がないようにしておくことが大切です。階段の昇り降りを減らすことは、二階建て住宅での家事負担を減らす方法の基本です。
家族のコミュニケーションと子どもの見守り
2階リビングには、帰宅した家族との自然なコミュニケーションが生まれにくいという問題点があります。1階の玄関から直接つながっているリビング、さらにリビング階段があるという間取りには、家族の自然なコミュニケーションが生まれやすいという良さがあります。特に子育て中には子どもの行動を把握しやすいので安心です。
階段の位置と動線の関係
階段には玄関ホールに設けるタイプと、リビング内に設けるタイプがあります。階段の位置によって玄関から居室への動線が変わります。その結果、暮らしやすさにも家族のコミュニケーションにも影響します。
玄関ホールに設ける階段
玄関ホールに階段を設ける間取りは、2階への動線がスムーズです。部分共有型の二世帯住宅で玄関を共有する場合や、小さな子供のいない家族で、帰宅後は食事の時間以外それぞれは部屋で過ごすことが多いという場合には、プライバシーが保ちやすい階段です。
リビングに設ける階段
家にいる時間のほとんどはリビングで過ごすことが多いという家族には、玄関ホールに床面積を多くとらず、リビングに階段を設ける間取りにすると、リビングをより広くできます。帰宅した家族はリビングを通って2階に上がるので、家族の自然なコミュニケーションが生まれやすくなり、子どもの行動も把握しやすくなります。
ただ、リビング階段にはリビングに来客があると、玄関やキッチンに行きにくいという問題があります。この場合は、階段をリビングの中でも玄関に最も近い位置に設けることで、来客中にも通行しやすくできます。
また、客間を設けないのでリビングを客間としても使いたいが、リビングからダイニングキッチンへの来客の視線が気になるという状況にならないよう、リビングとダイニングキッチンの間に階段を設け、緩く視線を遮るという間取りにするという考え方もあります。
二階建ての間取りプランには、家族構成と暮らし方、周辺環境に合わせて1階と2階の使い分け、住宅の形状、階段の位置を決めていくことが大切なポイントです。
二階建て住宅の建築事例と間取り図
30坪前後、40坪前後の二階建て住宅の建築事例をご紹介します。
31.67坪 3LDK T様邸|木づきの家
瓦屋根と深い軒のある二階建て住宅です。
あらわし梁は漆喰の壁に映えるリビング
32.06坪 3LDK K様邸|木づきの家
プライバシーを確保できる広いバルコニーのある二階建て住宅です。
キッチン、リビング、洗面室が行き来しやすい動線が作られています。
39.57坪 4LDK 光を取り込む自然と温もりの家
2階の居室がそれぞれのバルコニーに繋がっている二階建て住宅です。
玄関ホールに階段のある間取りですが、リビングの入り口の近くに配置されているので、2階に上がる前にリビングの家族に声をかけられます。
2階建て住宅には平屋に比べて床面積を確保しやすいという良さがある一方、階段の昇り降りがあるので家事負担が増えるという面もあります。間取りの工夫で2階建て住宅の良さが活かされる家を実現させましょう。
エーベンハウスは日本の木、茨城で育った木で家づくりをする工務店です。無垢材には、快適で安全な家を支える建材としての特性を備えています。
木造住宅は寿命が短いと思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、それは家の建て方によって大きく変わります。エーベンハウスは子や孫の代まで安心して暮らせることをコンセプトに無垢材の家を建てています。
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